生ビールの憂鬱

 

 

「生ビール」がおいしい季節だ。
ジョッキやクラスに並々注がれた冷え冷えの生ビール。
仕事が終わった後の一杯、休みの日の一杯、スポーツの後の一杯、たまらんよねぇ・・・・って言うと思った?
すみません、実は、ワタクシ、生ビール、あまり飲まないのです。
とくに、飲食店で出てくるあの生ビールをあまり飲まないのだ。
なぜ?
理由はこうだ。

 

生ビールって、どういうビール?

そもそも「生ビール」とはなにか。
「熱処理をしていないビール」のこと。飲食店で出されるあの樽(ステンレスの入れ物だけど)からコックをひねって注ぐものがまずイメージされるけど、瓶や缶に「生」と書いてあるものもすべて「生ビール」だ。
「生」は、明治のころから横浜や札幌で飲むことが出来た。世界大戦後には、沖縄地ビールの名品「オリオンビール」も「生」を発売し、沖縄の気候と新鮮さで人気を博した。大手ビール会社で最初の生はサントリーの「純生」で1967年発売。精密ろ過や滅菌容器詰めの技術開発のおかげで熱処理しないビールが飲めるようになったのだ。
続いて、1968年のアサヒ「本生」。こちらは、酵母が生きている生ビールが売りだった。その後、続々と「生」が発売され、ロングセラーの「キリンラガー」や、ビール業界図を塗り替えた「アサヒスーパードライ」へとつながっていく。驚くことに、現在の「生」率はなんと99%。「生」じゃない銘柄を探すほうが難しい。ちなみに、「ラガー」とは、『下面発酵ビールを熟成させたビール』のことで、生とは関係ない用語。ま、でも、なんとなくコクのある生ビールみたいなイメージがあるよね。

 

雑巾ビール?!

で、飲食店で出てくる「生ビール」をあまり飲まない理由は、ずばり、その匂いだ。
グラスを口元に持ってくると、むむ、臭い。なんか雑巾臭い。ありませんか?
飲食店における生ビールの品質管理はとても大変。毎日、生ビールのサーバーをきれいに洗わなくてはいけない。チューブやホースを水洗いしたり、時にはそこに小さい小さいスポンジを通して洗浄しなくてはいけないのだ。昔ワインバーをやっているとき、期間限定で生ビールサーバーをおいたことがあったが、いやはやもう大変だったもの。でも、これを惰ると、サーバー内に雑菌が繁殖し雑巾のような匂いのビールになっちゃうのだ。サーバー設置の際には、メーカーさんからきっちり衛生管理のことを教わるけれど、面倒なのでだんだんと掃除をしなくなっちゃう(恐ろしいことに、掃除が必要だって知らない店さえある)。あくまで経験からの話だけど、店が汚い、食器や酒器が汚い、料理が雑な店は、往々にしてこの雑巾ビールが出てくることが多いようだ。

 

ビールグラス、凍らせてどうする・・・

あと、ジョッキやグラスが凍っていて曇っているのも個人的には好きではない。一見涼しげだが、ビールを注いだ瞬間水分に変わってせっかくのビールが薄くなるし、泡立ちも悪くキメが粗くなる。冷房が効いた部屋ではむしろ寒々しく感じるし、あんまり冷たいものをゴクゴク飲むとお腹が冷えちゃうヨ。夏の体内の冷えは大敵だからね。

もちろん、丁寧に洗浄をしたクリアなグラスで、クリーミーな泡をたてながらバランスよく注いでくれる生ビールのおいしさは格別
最近は、こういった丁寧生ビールを出す店が増えてきたこともまた事実。こういったお店の料理はえてしておいしいことが多いのもうれしい。
だけど、安心してゴクゴクプハーッと飲める心底おいしい「生」はそこらじゅうにあるわけじゃないのもまた事実。生ビールは飲みたい、だけど、ちょっとなぁというこの時期、なんだか憂鬱な気分なのである。

 

 

 

 

 

 

 

2011年6月掲載記事を再編集しています。

 

 

 

 

 

 

 

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2015年6月17日
友田晶子
ソムリエ/
トータル飲料コンサルタント
(ワイン・日本酒・焼酎・ビール・カクテルなどお酒と食に関する専門家)

米どころ酒どころ福井県に生まれる。
現在、業界20年以上のキャリアと女性らしい感性を活かし、酒と食に関する一般向けセミナー、イベントの企画・開催、輸入業者や酒販店・料飲店・ホテル旅館などプロ向けコンサルティングを行っている。
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