苦味の素「ホップ」に思いを馳せて飲む、これぞオトナのビール飲み!

ビールの命は、あの「苦味」。はじめてビールを口にした日、「ウゲー、なんて、苦いんだ。これのどこがおいしいんだ」と思ったでしょ? でも、大人になるにしたがって、あの苦味こそがビールの味、おいしさの素なのだとわかってくる。口に含んだときの香ばしさ、爽快な泡、後味の心地いい苦味、のどごしと切れのよさ。いやぁ、これぞビール。苦味のないビールなんて・・・。不思議に今はそう感じている。ビールの苦味がおいしいと感じられてこそ大人なのであるよ。

ビールに欠かせない主要原料「ホップ」

ビールの苦味は、ご存知「ホップ」からくる。「ホップ」は植物。蔓(つる)が生える多年草で「セイヨウカラハナソウ」という和名がつけられている。「ホップ」という名前は、ホップが生息しているベルギーのポペリンゲ(Poperinge)という町の名前から。ビールに使われるのは、この樹の花のような部分(本当は花ではないそうな)。「毬花」ともよばれ、白くて丸くてかわいい、どう見ても花にしか見えない部分だ。このホップは、苦味のほか、華やかなフレーヴァーをも生み出してくれる、ビールには欠かせない主要原料なのだ。また、昔は生薬としても使われており、胃の薬、精神安定の薬としても使われていた。ホップたっぷりのビールを飲むと健康になる・・・かもね。

ホップの歴史

もともとはコーカサス地方(黒海とカスピ海の間あたり)が原産とされるが、驚くことに、紀元前のメソポタミア時代には、すでにビールに添加して使われていたともいわれている。ビールもワインもパンもチーズも生み出したメソポタミアって、もう、なんだか、すごい。

中世のドイツでは、ふんだんにホップを使用していたし、15世紀頃には、全ヨーロッパで、ホップの使用が通例になった。ビールの歴史で必ず出てくるのが、ドイツバイエルン公国の「ビール純粋令」(1516年)だが、これは、ビール大好きの王様が「ビールは、大麦とホップと水のみでしか造っちゃダメだかんね。他のもの、混ぜちゃ、ダメだかんね。ビールは純粋でなければ、ダメだかんね」と決めたもの。日本のビールは、このドイツ四季にのっとって造られている。だから、発泡酒とか第3のビール、第4のビールという呼称になるのだ。

ホップの種類

現在、ホップの栽培は、ドイツ(ババリア地方)とアメリカ(ナパやソノマ、ワシントンなどワイン産地が多い)が二大産地。そのほか、チェコのボヘミア地方やモラビア地方、オーストラリアのヴィクトリア州、南ア、中国などと栽培地が広がっている。日本も北海道や東北で栽培されている。

ホップの種類は、世界で使用されている代表銘柄だけでも70種類くらいはある。人気の品種もあるけれど、ビールのボトルや缶を見ても、どこにも「ホップの種類」は書かれていない。あくまで、縁の下の力持ちって感じなのだ。

超有名なものを挙げておこう。

●     ハラタウ(ドイツ)

 上品な苦味をかもし出す最高峰のホップ。濃厚なビールに使用される。

●     ザーツ(チェコ)

 アロマティックなフレーヴァーで品格のある味わいになる。ピルスナータイプに使用される。

●     キャスケード(アメリカ)

 フルーティーでキャンディーのようなフレーヴァー。アメリカンビールに使用される。

●     信州早生(日本)

 日本で栽培されている品種。日本のホップにも期待したい。

麦芽だけでなくホップの使用も少ない発泡酒や第3第4のビールが人気の昨今だけど、麦芽とホップがしっかりと感じられる「ビール」を、ゆっくり味わいのもいいもの。ときには「ホップ」のことを思い出して、どこで育った、どんな品種なのか、想像して飲んでみてほしい。ホップに思いを馳せながら飲む。これぞワンステップアップの「苦味に慣れたオトナのビールの味わい方」だろう。

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2011年5月16日
友田晶子
ソムリエ/
トータル飲料コンサルタント
(ワイン・日本酒・焼酎・ビール・カクテルなどお酒と食に関する専門家)

米どころ酒どころ福井県に生まれる。
現在、業界20年以上のキャリアと女性らしい感性を活かし、酒と食に関する一般向けセミナー、イベントの企画・開催、輸入業者や酒販店・料飲店・ホテル旅館などプロ向けコンサルティングを行っている。
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