「ビール」と「発泡酒」と「第3のビール」、 違い、ご存知ですか?

 

 

「ビール」「発泡酒」「第3のビール」・・・。
“ビール系飲料”と呼ばれるアルコール飲料が増えている。
安いのはありがたいし、思いのほか味の違いがないようにも思う。
実際、なにが違うのだろうか。
いまさら聞けないこと、こっそり教えてさしあげましょう。

 

 

ポイントは「麦芽」と「税金」

まずは表を見ていただこう。

酒税法上の分類

ビール

発泡酒

その他の醸造酒(発泡性)

リキュール(発泡性)

アルコール度数

5%前後

5%前後

5%前後

5%前後

3 5 0 m l

215

159

139

139

・製法

麦芽、ホップ、水、および副原(米・とうもろこし等)を発酵させたもの。(麦芽比率は2/3以上)

麦芽または麦を原料の一部とした酒類で発泡性を有するもの。

糖類・ホップ・水、および大豆・えんどう・とうもろこし等を原料として発酵させたもの。

麦芽比率50%未満の発泡酒。酒にスピリッツを加えたものでエキス分2%以上のもの。

酒税

220,000円/kl
77円/350ml

134,250円/kl
47円/350ml

*麦芽比率25%未満のもの

80,000円/kl
28円/350ml

80,000円/kl
28円/350m

 

ご覧のとおり、基本は「麦芽の使用量」によって「税金額」が変わり、「種類」が変わるということ。ビールを名乗るなら、麦芽を3分の2以上使用しなければいけない。発泡酒はそれ以下となる。ビールとは、「麦芽」の飲み物であるということが大前提なのだ。そう、日本酒は米、ワインはブドウ、古代から受け継いできた伝統醸造酒は、なんといっても原料そのものの風味が生きた酒ということでもあるわけだ。

また、ビールは半分近くが税金ともいえる。いかに低価格にするかは、ビールメーカーと税制との戦いでもあったのだ。

 

第3のビールって、リキュールなのか!

発泡酒が市場に出たのは1997年(平成7年)。ビールより安い発泡酒は、消費者の懐をとらえ、人気となった。
が、2003年(平成15年)の税制改正で、発泡酒の税率がアップ。すわ、これでは発泡酒離れが起こると危惧したメーカーが、次に研究・開発したのが「第3のビール」だ。麦芽を使用しないで、豆類やトウモロコシなどの原料を使いビールのような風味に仕上げた技術の飲み物だ。初めての商品は、サッポロビールがえんどう豆でつくった「ドラフトワン」。最初に飲んだときは、驚きましたねぇ、豆の味が強烈で・・・。
しかし2006年(平成18年)に再びおこなわれた税制改正では、第3のビールの税率もアップ。せっかく開発した技術者にとって「ひどいわひどいわ」である。
これに負けず、さらなる研究・開発したのが、麦を使った発泡酒にスピリッツ(蒸留酒)を混ぜビール用の味わいに仕上げたもの。酒税法上はこれが「リキュール(発泡性)」の扱いになり、いままでの「第3のビール」は「その他の醸造酒(発泡性)」と呼ばれるようになった。
もはやビール“系”でもない。
シャンパーニュ型のボトルに入っていれば、スパークリングのコーナーに置いてもかまわないのだ。ちなみに「缶チューハイ」も同じ「リキュール」になる。
もうなんだか…。
混乱を避けるため、メディアはこれを「第4のビール」とか「新ジャンル」と呼んだりもしているが、なんだかもう、どれでもいいや。

さらにこのとき、「今までとは違った製法でアルコール10度未満の飲料はビールと同額の税率が課せられる」ことも決まったので、新たな「ビール系飲料」、「第5のビール」、「新ジャンル」は生まれないといわれている。
ちなみに2008年(平成20年)、第3のビールは、発泡酒の売り上げを抜いた。

そして驚くことに、大手スーパーのPBでは350mlで100円のビール系飲料が売られ、韓国などからの「輸入ビール系飲料」は、100円を切るものが登場し、アルコールフリーのビール系とともに、じわじわと陣地を広げている。

安くなるのはありがたいが、商品が複雑になるのは困る。いっそ、「ビール」と「ほか、ビール風飲料全部」ってことでまとめちゃってもらえないかなと、プハーッと飲みながら考えている昨今。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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2015年12月28日
友田晶子
ソムリエ/
トータル飲料コンサルタント
(ワイン・日本酒・焼酎・ビール・カクテルなどお酒と食に関する専門家)

米どころ酒どころ福井県に生まれる。
現在、業界20年以上のキャリアと女性らしい感性を活かし、酒と食に関する一般向けセミナー、イベントの企画・開催、輸入業者や酒販店・料飲店・ホテル旅館などプロ向けコンサルティングを行っている。