「焼酎は何の料理でも合う」は間違いだ!

 

焼酎好きのオッチャン達はよく言う。
「焼酎は料理を選ばない、なんでもよく合う」と。
たしかに、居酒屋で、タコぶつにハムカツにおでんにポテサラに冷やしトマトあたりをつまみながら焼酎飲んでるわな。
しかし、あれは「なににでも合う」ということではなく、食べたいおつまみを食べ、ただ焼酎を飲み流しているだけだ。
焼酎は蒸留酒で、焼酎そのものには、ワインや日本酒のように甘味や酸味や渋味はほぼ含まれない。芋焼酎が甘く、麦焼酎が香ばしく感じるのは、香りが甘く香ばしいからだ。樽で熟成していれば樽からくる甘く香ばしいフレーヴァーが感じられる。あれは樽の影響だ。
とくに甲類焼酎(連続式蒸留焼酎)はほとんど癖も味もなんもないアルコールだ。だから梅を入れたり、レモンジュースで割ったり、お茶で割ったりして味付けして飲むのだ。
甘いジュース入りの焼酎が「何にでも合う」って言っちゃうこと自体、なんかヘンでもあるな。

チューハイおっちゃんが言う「焼酎はなににでも合う」は、「料理と酒の相性などちしめんどうくさいことを言うな。つべこべ言わず飲め」ということである。
ま、それもわかる。

伝統焼酎と郷土料理はやっぱり魅力的

だけどそれじゃ焼酎が浮かばれない。
とくに伝統的な造りと味を継承してきた本格焼酎(単式蒸溜焼酎)の魅力が半減だ。
本格焼酎は、蒸留酒だけど、香りが豊かで個性的だし味わいにもどこか奥行きがあり特徴を持っている。焼酎の産地の人たちは、その土地の気候風土に合った食と長い飲食経験から、焼酎と相性のいい料理を残してきた。それがいわば郷土料理だ。
薩摩芋焼酎ならとんこつ(豚の角煮)やつけあげ(さつま揚げ)がよく合うし、球磨焼酎なら鮎や猪の炭火焼きがいい。壱岐の麦焼酎の軽快なものはイカのお造りやウニにバッチリだし濃厚なものは焼き魚と香ばしさが抜群。甕寝かせの琉球泡盛の古酒には豆腐よう、軽快な泡盛にはゴーヤチャンプル。伊豆諸島のドライな芋焼酎には、島唐辛子がきいた白身魚のヅケが合う。

焼酎には甘いもの、日本酒には塩辛いもの、ワインには脂もの

さらに友田酒人生で気が付いた料理と酒のおいしい相性法則に、「日本酒には塩辛いもの」「焼酎には甘いもの」「ワインには脂もの」というのがある。
米の酒である日本酒はどんな辛口仕様でもどこか甘さがある。これには塩辛とか干物とか漬物とか塩分のきいたものがおいしい。酸味や渋味のあるワインにはバターやオリーブオイル、クリームなどの油脂に塩分をプラスしたものが美味しい。
アルコールの刺激がありドライな味わいの焼酎には、甘いものが合う。実際鹿児島の角煮やさつま揚げは砂糖をはじめとした甘味が結構な量加えられている。だからこそおいしい。黒豚しゃぶしゃぶだって豚の脂の甘味があってこそ焼酎に合っておいしいのだ。ちなみに、かりんとうや黒砂糖の麩菓子、モンブランやマロングラッセなどスイーツ(=本格的に甘いもの)と一緒に飲んでもかなりおいしい。

町の居酒屋で「この芋焼酎には角煮」「この麦焼酎には焼き魚」「泡盛にはゴーヤ」などとあまりこまごまチマチマやるのもいかがなものかとは思うが、「焼酎はなににでも合う」と言い切るのは寂しい。「なににでも合う」は「なにとも合わない」に等しいとも言われる。
焼酎の個性、もちょっと気にしながら飲むときがあってもいいんじゃない。

 

 

 

 

 

 

 

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2015年1月14日
友田晶子
ソムリエ/
トータル飲料コンサルタント
(ワイン・日本酒・焼酎・ビール・カクテルなどお酒と食に関する専門家)

米どころ酒どころ福井県に生まれる。
現在、業界20年以上のキャリアと女性らしい感性を活かし、酒と食に関する一般向けセミナー、イベントの企画・開催、輸入業者や酒販店・料飲店・ホテル旅館などプロ向けコンサルティングを行っている。
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