おいしいラク楽講座

 

秋の行楽シーズン。
旅する季節ですねぇ。
旅の楽しみはなんといってもその土地の「食とお酒」。海外からの旅行者も「和食が食べたい」「日本酒・焼酎が飲みたい」と食とお酒に期待値最大で訪日されます。
旅での食とお酒のシーンはいろいろありますが、なんといっても旅館、特に温泉旅館での食事とお酒は旅のメインイベント。お風呂上がりの地酒、地焼酎、地ワイン、これもう、たまりませんです。
今月は、旅館でのお酒の楽しみを考えていきます。旅館にチェックインするところからシュミレーションで見ていきましょう。

 

 

女将のオリジナル・ウエルカムドリンク

「●●●●●御一行様」。
大型旅館や昔ながらの旅館だと、入り口には、予約した自分の名前や会社や団体の名前が大きく書かれていることがあります。これ、ベタですが、なんだか妙にうれしいんですよねぇ。歓迎されてる感満載です。
玄関を入ると履き物を脱ぎ(脱がないお宿もありますが)、スリッパに履き替えます。老舗名旅館は、この時点でお客様の足のサイズを見極め、お客様がお部屋に入るまでに、その人にぴったりサイズの足袋が用意される・・・などと聞いたことがあります。すごいですね。
続いて、ロビーラウンジのソファに腰かけながらチェックイン。そこで出てくるのは、ウエルカムドリンクです。昔はお茶でした。夏なら麦茶や冷たい緑茶。冬なら温かい梅昆布茶、点て立てのお抹茶が出てくることもありました。
最近はオリジナル・ウエルカム・ドリンクが出てきます。それも女将オリジナルだったりします。たとえば、もぎたて桃の果肉入りジュースとかヘルシー赤シソジュースとか先代女将秘伝の梅ジュースとか完熟ゆずジュースのソーダ割りとか。いいですねぇ。その土地の特産品を使った新鮮なジュースは実にいいです。旅館に入った瞬間はたいてい喉が渇いています。女将はそれを察しているのです。喉の渇きと疲れを癒すウエルカムドリンクはおもてなしの心があふれた女将とお宿の心です。しかし、ここでアルコールが出てくることはまずありません。もう少しの我慢です。

お部屋に入ります。お風呂好きの方なら、早速浴衣に着替えお風呂に直行。おっと、待ってください。ここでは一杯のお水かお茶を飲みましょう。お風呂では汗をかきますからお風呂前の水分補給は大切です。ゆっくりお風呂を楽しむならなおさらです。もちろんお風呂前のアルコールもNG。

 

生ぬるい置きっぱなしの梅酒が・・・・

さてお風呂から上がりました。長風呂、堪能しました。はい、待っていましたこの瞬間。
夏なら旅の疲れと汗を洗い流し、冬なら凍えた体を温め、温泉で体が清まったら、ビールです。ビールが待っています。お待たせしましたっ。温泉に入った後のビールほどおいしいものはありません。生きててよかった、神様ありがとうと思える瞬間です。ごくごくグビッといきましょう。

しかし、ここで問題が。
食卓を見るといくつかの料理とともに「食前酒」が小ぶりのグラスに入って鎮座ましましています。中身はたいてい梅酒などの果実酒です。これ、実に困るのです。いえ、梅酒や果実酒そのものに問題はありません。食欲増進効果もありむしろ必要なものです。しかし、最初の料理とともに早くから食卓に並べられているので(量が並べられているのも困りますが)どうにも生ぬるいのです。果実酒は冷たくてこそおいしいお酒。喉が渇いているタイミングでの食前酒ですからならなおのこと。
そのうえ、もうビール飲んじゃってます。ビールの後にぬるい果実酒は決しておいしくはありません。せっかくご用意いただいてもどうにも持て余してしまうのです。旅館の関係者様、これ、どうにかしていただきたい。杓子定規に食前酒を食卓に並べる必要は全くありません。もしどうしても出したいときには、お客様が席に着いたら、そのタイミングで冷たい、もしくはオンザロックやソーダ割りを提供してください。万が一面倒だとか手間だとかならば出さなくても大丈夫。また、本当に美味しい食前酒ならば、きっちり料金を取ってもいいかもしれません。お客様のお立場のみなさま、さて、この置きっぱなしの梅酒・果実酒、どう思われますか?

温泉旅館のお風呂と食事と地元らしいお酒は、旅の魅力のトップともいえます。これから海外からのお客様もますます増えます。海外の方は食前酒文化を持っています。日本の旅の中でもこの楽しみを十分に満喫してもらえるように、ちょっとしたおもてなしの心遣いを体験してもらえたらいいですよね。お客の代表としてのお願いです♪

 

次回は、食前酒のあれこれと、旅館のお料理に合わせたお酒の楽しみポイントをご紹介しましょう。

 

 

 

 

 

 

 

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2016年9月2日
友田晶子
ソムリエ/
トータル飲料コンサルタント
(ワイン・日本酒・焼酎・ビール・カクテルなどお酒と食に関する専門家)

米どころ酒どころ福井県に生まれる。
現在、業界20年以上のキャリアと女性らしい感性を活かし、酒と食に関する一般向けセミナー、イベントの企画・開催、輸入業者や酒販店・料飲店・ホテル旅館などプロ向けコンサルティングを行っている。